なぜエアコンの熱交換器は腐食するのか?
エアコンは、見た目がきれいでも
内部では気づかないうちに「腐食(サビ)」が進んでいることがあります。
「まだ新しいのに」「定期的に掃除しているのに」
そう感じる方ほど、内部の状態を見て驚かれるケースは少なくありません。
一般的には
「湿気」「カビ」「使用環境」などが原因と言われますが、
私たちが現場で分解して確認していると、
それだけでは説明できない腐食が多く見られます。
このページでは、
エアコン内部、とくに熱交換器に起きる腐食について、
実際の現場写真をもとに
なぜ起きるのか・何が影響しているのかを
できるだけ分かりやすく解説します。
不安をあおるためではなく、
「知ったうえで、どう判断すればいいのか」
その材料として読んでいただければ幸いです。
「湿気やカビ」だけでは説明できない腐食の実例

熱交換器の配管が集まる部分です。
周囲の金属だけが赤く変色し、
腐食が特定の場所に集中しているのが分かります。
単なる汚れや湿気だけでは、
ここまで偏った傷み方になることは多くありません。

熱交換器の側面部分です。
アルミフィンは比較的きれいに見えますが、
その横で金属部分だけが強く腐食しています。
汚れやカビだけが原因であれば、
このように境界がはっきり分かれることは多くありません。

熱交換器の配管が固定されている部分です。
ネジや金属の周囲だけが赤く変色し、
腐食が点状に集中しているのが分かります。
汚れや湿気が原因であれば、
このように金属の接点だけが傷むことは多くありません。

熱交換器の**上部(配管の付け根側)**です。
フィン全体は比較的きれいに見えますが、
配管の付け根まわりだけが強く腐食しています。
全体が汚れているわけではなく、
特定の場所に集中して傷みが進んでいるのが特徴です。

これまでご紹介した写真は、
すべて同じ年式のエアコンです。
それでも腐食の出方には大きな差があり、
場所によって進行の仕方がまったく異なります。
年式や使用年数だけでは説明できない要因が
関係していることが分かります。
なぜ、同じ年式でも腐食の出方が違うのか?
ここまでの写真を見て、
「同じ年式なのに、なぜこんなに差が出るの?」
と感じた方も多いと思います。
この違いは、
掃除の頻度や使い方だけでは説明できません。
実際の現場では、
・特定の金属部分だけが傷んでいる
・配管の付け根やネジ周辺に集中している
・全体はきれいなのに一部だけ進行している
といったケースが多く見られます。
これは、
水や汚れが均等に付着して起きる劣化とは、少し様子が違います。
たとえるなら…
異なる金属を水に触れさせたままにすると、
片方だけが先に傷んでいくことがあります。
エアコン内部でも、
アルミ・銅・鉄など
性質の違う金属が組み合わさり、湿気がある状態になることで、
特定の場所に負担が集中することがあります。
その結果、
・ネジ周辺
・配管の付け根
・側面や端部
といった金属が接する場所から傷みが進むケースが出てきます。
年式や使用年数だけでは判断できない理由
このような現象は、
・設置環境
・電気の流れ方
・内部構造
など、いくつかの条件が重なって起きるため、
「新しいから安心」
「同じ機種だから同じ状態」
とは限らないのが現実です。
この現象には名前があります
こうした金属の組み合わせや環境によって起きる腐食は、
**「電解腐食(でんかいふしょく)」**と呼ばれます。
すべてのエアコンで起きるわけではありませんが、
実際の分解現場では、
無視できない頻度で確認されている現象です。
※
・不安をあおるための説明ではありません
・すべてのエアコンに当てはまるわけではありません
・環境や条件によって差があります
次の項目では、
**「アースがあっても安心できない理由」**と
私たちが現場で行っている対策について説明します。
アースがあっても安心できない理由
「アースは付いていますよ」
そう説明を受けたことがある方も多いと思います。
確かに、エアコンには
アース端子やアース線が用意されている機種がほとんどです。
ただし、
「アースがある=すべて守られている」
とは限りません。
アースは“あるだけ”では意味がありません
アースの本来の役割は、
電気をきちんと逃がしてあげることです。
しかし実際の現場では、
- アース線は付いているが、
電気がうまく流れていない - 接続されているが、
途中に抵抗になりやすい部分がある - アースがあっても、
エアコン内部の金属すべてが同じ状態になっていない
といったケースが多く見られます。
その結果、
**内部でわずかな電位差(電気の偏り)**が生じ、
特定の金属部分に負担が集中することがあります。
「漏電していない=問題ない」ではない
ここで誤解されやすいのが、
漏電ブレーカーが落ちていないから大丈夫
→ 問題は起きていない
という考え方です。
実際には、
ごくわずかな電気の偏りでも、
長い時間をかけて金属に影響を与えることがあります。
これは
「危険な電気が流れている」という話ではなく、
気づかないレベルの影響が、少しずつ積み重なる
というイメージです。
なぜ、腐食が“特定の場所”に集中するのか
写真で見ていただいたように、
- ネジの周辺
- 配管の付け根
- 側面や端の金属部
こうした場所は、
異なる金属が接している部分であり、
電気的な影響を受けやすいポイントでもあります。
アースがあっても、
内部の状態によっては
すべてが同じ条件にならないことがあるため、
腐食の出方に差が生まれます。
ここで大切なのは…
- アースが「ある・ない」だけで判断しない
- 年式や見た目だけで安心しない
- 内部で何が起きているかを知る
ということです。
次の項目では、
こうした前提を踏まえたうえで、
私たちが現場でどのような考え方・対策をしているのか
をお伝えします。
※
・すべてのエアコンで起きるわけではありません
・設置環境や使用状況により差があります
・不安をあおる意図はありません
私たちの考え方と現場での対策
ここまでお伝えしてきた内容を見て、
「じゃあ、どうすればいいの?」
と感じた方もいると思います。
私たちは、
腐食=すぐに危険・交換が必要
とは考えていません。
大切なのは、
今どんな状態なのかを正しく知り、
そのうえで判断することです。
私たちが大切にしている考え方
エアコン内部の腐食は、
- 年式
- 見た目
- 使用年数
だけでは判断できません。
だからこそ、
実際に分解し、内部の状態を目で確認すること
を大切にしています。
「問題が起きていないから見ない」ではなく、
起きる前に状態を知る。
それが、エアコンを長く安心して使うための近道だと考えています。
現場で行っている主な対策
私たちは、次のような点を意識して作業しています。
- 内部の金属状態を確認し、
腐食の出方に偏りがないかを見る - アースの有無だけでなく、
内部構造や接点の状態を確認する - 汚れを落とすだけでなく、
腐食を進めにくい状態に戻すことを意識する - 必要以上に不安をあおらず、
状態に応じた説明と提案を行う
「とにかく洗えばいい」
「全部交換しないとダメ」
そういった極端な判断はしません。
すべてのご家庭に同じ答えはありません
設置環境や使い方は、
ご家庭ごとにまったく違います。
だからこそ私たちは、
一つの正解を押し付けるのではなく、
選択肢を知ってもらうこと
を大切にしています。
- いまは様子を見る
- 定期的に内部を確認する
- 必要に応じて対策を考える
その判断材料として、
このページの情報を役立てていただければ幸いです。
最後に
エアコンは、
毎日の生活に欠かせない存在です。
だからこそ、
見えない部分も含めて
安心して使い続けられる状態を
一緒に考えていければと思っています。
※
・すべてのエアコンで同じことが起きるわけではありません
・状態や環境によって対策は変わります
・ご不安な場合は、専門業者に相談することをおすすめします